ウサギとか自分で言っちゃったけど、可愛い子ぶってるワケじゃないから!!
ウサギは怖いんだからね!!
……って、私は誰に言っているんだろ?
まぁ、いいや。
「ご馳走さま」
身も心もお腹いっぱい。……二重で。
「お粗末様でした」
食器を下げて、まだ時間があったから紅茶を飲む。
「愛歌が作る料理がお粗末様なワケないだろ?なぁ、星歌」
「はいはい。お母さんの料理は最高です」
お父さんのノロケになんて付き合ってらんない。
「愛歌ちゃんの料理、美味しかったよ」
「ありがとうございます。おじさん」
お母さんはおじいちゃまを“お義父さん”じゃなく、“おじさん”って呼ぶ。
なんでも、
『星と結婚する前から愛歌ちゃんのこと見てたのに、星と結婚したからってお義父さんって呼ばれるのは嫌だ!!星と結婚してなくても、星と離婚しても、おじさんと愛歌ちゃんの関係は変わらないのに!!』
とよく分かるような分からないようなおじいちゃまの主張で、おじさんと呼ぶことにしたらしい。
やっぱりその後、お約束で。
『なに、息子の嫁さんにちょっかい出してんの?』
お父さんがムッとしたらしい。
それが結婚前のできごと。
ーーで、現在。
「なに、親父。俺より先に愛歌の料理食べたの?」
不機嫌MAXなお父さん。
「星が起きるのが遅いのが悪いんだよ?」
澄ました顔でコーヒーを飲むおじいちゃま。
「年寄りは何で無駄に早起きなんだ」
「失礼な。まだ現役だよ?ねぇ、愛歌ちゃん」
おじいちゃま、ワザとそこでお母さんに振らない。
「えっ!?」
お母さん困ってるよ。
まぁ、そうだよね。
笑顔で圧力かけてくる義父と、目をつり上げて見てくる夫。
二人に挟まれちゃ、ね。
あんまりにも不憫だから、助け舟を出してあげることにした。
「おじいちゃま、素敵よ。ロマンスグレーって感じで」
「ありがとう、星歌ちゃん」
その笑顔が素敵よ、おじいちゃま。
「……。星歌はお父さんよりジジイが良いのか」
「お父さんは素敵よ?おじいちゃまとはまた違った魅力的な男性よ。でも、お父さんにはお母さんがいるでしょ?」
不機嫌さはどこへやら。笑ってる。
「安心して。私はお父さんに似た男性を選ぶから」
って言った途端。
「ダメだぁっ!!我が家の姫は誰にもやらん!!」
目がつり上がった。
しまった。逆効果だった。
「嫁になんて行かせないからなっ!!」
「気が早いな星。彼氏連れてきたワケじゃあるまいし」
「かっ、彼氏!?」
テーブルの向こう側にいたのに、お父さんはいつの間にか隣にいて。
ガッチリと肩を掴まれた。
「星歌、彼氏がいるのかっ!?」
「まさか。いるワケないじゃない」
そりゃ、欲しくないワケじゃないけど。
「そうか、そうだよな」
安心したのか、破顔するお父さん。
「けど星歌ちゃんも高校生だからな。覚悟した方が良いぞ」
おじいちゃま、余計なことを!!
私が睨んだところで効果なんてなく。
お父さん、顔面蒼白。
「そ、そんな……」
そんな落ち込むこと!?

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