「……。は?」
大きな目を更に大きくした。
ーー人間の目ってこんなに大きくなるんだぁ。
いっそ違う所に感心してしまう杏香だった。
「だってあの席、椅子だったでしょ?椅子って固いから疲れ取れないし、ゆったりできないな、と」
何が地雷になるか分からないので少しビクビクしながら、ーーけれど自分の考えを流すようにスラスラと言葉に換えた。
「ーー」
「舞安、疲れてたんでしょ?」
「……え?」
瞳を揺らした舞安に杏香は不安になった。
「え?……違った?」
「……。なんで、分かったの?」
今日の舞安は変だ。
いつも変と言えば変だが。
なんだか、様子がおかしい。
なんというか、……迷子の子猫みたいだ。
怯えるような。
怖がってるような。
今にも泣きそうな。
でも泣かない。
涙は見せず、爪を見せて虚勢を張っている。……そんな、子猫。
舞安が頼りなくて、可愛く思えた。
自然と笑みが浮かんだ。

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