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「おはようっ」

ドアを開けて大きな声で挨拶する。
談笑していた二人は私に気付くと笑いかけてくれた。

「おはよう。よく眠れたかい?」

おじいちゃまの心地いいテノールの声に私は笑みを浮かべた。

「うん、とっても!!」

「そうよね~、寝過ぎてるくらいだもんね」

むっ。
私が見るとお母さんはクスクス笑いながら台所に行った。……逃げたな。

「布団が好きなのはきっと星に似たんだな」

柔らかく笑うおじいちゃま。

私はおじいちゃまの隣の椅子に座った。
「お父さんほどじゃないよ!」

そこは抗議する。

「まだ起きてないじゃない」

絶対私の方が、お父さんよりマシ。

「今起動中よ」

お母さんがフライパンを持ってきて、ランチョンマットの上に置いてある白いお皿に目玉焼きとソーセージを盛り付ける。

ん~、いい匂い。
ソーセージ焼くとなんでこんなにいい匂いがするんだろうなぁ~♪

「ホント、手の掛かる息子で申し訳ない」

ダンディーなおじいちゃまには苦い笑みもよく似合った。

「いえいえ」

目元を和ませるお母さんは、「母」の顔じゃなかった。
それは「妻」の顔で。幸せに満ち足りていて、とても綺麗な顔だった。

娘の私が見とれちゃうくらい。

「星の奥さんに愛歌ちゃんがなってくれて良かったよ」

おじいちゃまが笑うと、お母さんは恥ずかしそうに頬を赤らめた。

少女のようにいじらしい、お母さんの姿。
お母さんからしたらおじいちゃまは愛する夫の父親っていうより幼なじみのお父さんっていう方が強いから、時々子どもみたいになる。
おじいちゃまも義理の娘っていうより小さい時からお母さんを見てたから本当の娘を見る父親みたいな顔になる。

温かい雰囲気が流れるその時間が私は好きだった。

けどーー。

「親父。俺の嫁さんと見つめ合うのやめてくんない?」

ぶすっとした顔と、低い声でやってきたのは、お父さんだった。

「良いじゃないか。義理の娘なんだし」

「よかない」

朗らかに笑うおじいちゃまに憮然としながら椅子に座るお父さん。

……まったく。

トースターから取り出したパンの端をかじりながら、目の前に座ったお父さんを見る。

お父さんは机に腕を置いておじいちゃまを威嚇していた。

なんだかそれは毛を逆立てている猫みたいに見えて、可愛らしかった。

「おはよう、星」

お父さんの不機嫌さなんてお母さんの一声で吹っ飛ぶ。

「おはよう、愛歌」

子どもみたいに無邪気な顔になるお父さん。


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